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バルサラの破産確率の導出

前回、日本のWebサイトに紹介されている「バルサラの破産確率表」のほとんどが間違っていることを指摘しました。
バルサラの破産確率が本来は3つのパラメータから計算されるのに対して、紹介されている破産確率表が2つのパラメータしか使っていないことを間違いの根拠として挙げました。
ここでは、もう少し掘り下げ、「正しい」バルサラの破産確率を理解するために、バルサラの破産確率を導出してみることにします。
もちろん、ペイオフレシオがのときは、簡単に求まりますので、ここでは一般にペイオフレシオをとして考えます。
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破産確率は以下のような問題として考えることができます。

問題a
 (a-1) 賭け金で、勝てば、負ければ、というゲームを繰り返す。
 (a-2) 各々のゲームでの勝率は
 (a-3) 目標金額に達した時点で賭けは終了。
 (a-4) 資金がになった(=破産した)時点でも賭けは終了。
 (a-5) 資金でゲームを開始した。
 (a-6) 目標金額に達する前に、破産する確率を求める。

ペイオフレシオはとして表せます。
ここで、問題に出てくる金額を負けた時に失うで割りとして考えても(規格化しても)、問題としては等価です。
そうすると、買って得られる金額はペイオフレシオに等しくなり、結局以下のような問題として書き換えることができます。

問題b
 (b-1) 賭け金で、勝てば、負ければ、というゲームを繰り返す。
 (b-2) 各々のゲームでの勝率は
 (b-3) 目標金額に達した時点で賭けは終了。
 (b-4) 資金がになった(=破産した)時点でも賭けは終了。
 (b-5) 資金でゲームを開始した。
 (b-6) 目標金額に達する前に、破産する確率を求める。

ここで、リスクにさらす資産の割合をとすると、
             ・・・(c)

(b-3)から、目標金額に達したら破産しないため、  ・・・(d)
(b-4)から、同様に                 ・・・(e)

(b-2)からこのゲームで負ける確率は            ・・・(f)
(b-6)から資金nを持っているときの破産しない確率は ・・・(g)

この状態で、(b-1)により、ゲームをすると、負けるか、勝つか2つのケースが考えられる。
 (1)負けた場合は、資金はになり、破産する確率はと表せる。
   つまり、このときの破産しない確率は、
 (2)勝った場合は、資金はになり、破産する確率はと表せる。
   つまり、このときの破産しない確率は、
これらの合計が(g)と等しい。つまり(f)も使うと、

    ・・・(h)

(h)のような式の形は漸化式(もしくは差分方程式)と呼ばれます。高校数学の漸化式では、回目のような回数を表していました。しかし、この問題では破産確率は資金の関数というところが異なっているため、戸惑うかもしれません。ですが、高校数学の漸化式でも、回数の関数として捉えることができるため、考え方は同じです。

この漸化式(h)は簡単には解くことができませんが、(d)(e)などを使って、結果だけ書くと、(参考文献:確率論とその応用 I 下
特性方程式である
   ・・・(i)
の解に唯一であり、(c)も使って、
       ・・・(j)


つまり、結果をまとめるとこうなります。
勝率とペイオフレシオから、(i)の方程式の解を求め、この解とリスクにさらす資産の割合から破産確率を計算する。

さて、この(j)は簡単に計算できますが、(i)の方程式は簡単に解けません。ペイオフレシオが整数でない時もあるからです。

そのため、(i)の方程式はコンピュータ上でニュートン法などを用いて解くことになります。幸い、(i)の解はの間に1つと分かっているので、などを初期値として与えればすぐに求めることができます。あるいは、Excelがあれば、ゴールシークを使って、(i)の左辺を計算し、になるようにを変化させれば求まります。
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